My Generation (自転車と本、あるいは音楽)

自転車での走行記録とか好きな本や音楽などをメインにお届けします

レディジョーカー

高村作品を読むのは「マークスの山」についで2作目。「マークスの山」もそうだが、心理描写が念入りにすぎる嫌いがあり、肌に合わない人がいるかもしれない(実を言うとわたしもあまり馴染めない)。会話より地の文のほうが多いし。あとこの作品、純然たるミステリではないので謎解きの要素がほとんどない。犯人も予めわかっているし、ミステリの枠組みに入れないほうがいいように思う。犯罪者、警察、企業、マスコミなどそれぞれの立場での心情や葛藤をきめ細かく描写しており、犯罪を題材にした社会小説もしくは総合小説というところだろうか。
なんか肌に合わないなあと思いながらも文庫で3冊を投げ出さずに読み切らせた著者の筆力は、やはり圧倒的なものがあると思う。ただ、お腹いっぱいですぐにでも著者の作品を手に取りたいとは思えないんですね。読み手も覚悟というか、それなりに準備しないといけないです。
レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)レディ・ジョーカー〈中〉 (新潮文庫)レディ・ジョーカー〈下〉 (新潮文庫)