「小林・益川理論の証明」立花隆
先日、鈴木章氏と根岸英一氏がノーベル化学賞を受賞された。大変喜ばしいことである。ノーベル賞にちなみ、わたしがご紹介するこの本は、2年前にノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生*1と益川敏英先生が1973年に発表された「小林・益川理論」について、立花隆氏が紹介している本である。
- 作者: 立花隆
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/01/20
- メディア: 単行本
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では、「CP対称性の破れ」*3というのは何か?ということなのであるが、我々の宇宙が存在することを説明するために非常に重要な現象である。以下、わたしなりに説明すると(誤りがあればご指摘ください)...
素粒子の世界では陽子に対する反陽子、電子に対する陽電子のように粒子に対する反粒子が必ずある。粒子と反粒子が出会うと対消滅を起こし、粒子も反粒子も消えて光(エネルギー)となってしまう。また粒子に対する反粒子は基本的に鏡像のようなもので、例えば陽電子は電荷がプラスの電子であり、電荷のみが違いその他の性質は同じである。これを対称性があるという。(対称性があるからぶつかると対消滅を起こす)ビッグバンで宇宙が創世されたときには粒子も反粒子も同じだけ生成される対生成という現象が起こっていたと考えられているが、それでは対消滅によって全部消滅して宇宙は存在しないはずである。しかし、我々の宇宙はちゃんと存在し、しかも粒子から構成されているものがほとんどである。粒子と反粒子がぶつかっても消滅しないことがある、すなわち「CP対称性に破れがある」から消えずに残っている*4と考えられているのである。
「小林・益川理論」では「CP対称性に破れがあるのはクォークが3世代・6種類あると説明できる」とした理論であるが、残念ながらわたしの頭脳ではなぜそうなるのかを平易に説明できないので、興味がある方は図書館で借りてみてご一読ください。