「原発革命」
福島の原発がなかなかいい状況にならない。過酷な状況の中、現地で作業されている方に敬意を表すると共に少しでも早くいい状況になることを願っている。
この本は随分前に出版された本だけどちょうどタイムリーかと思うのでご紹介を。
- 作者: 古川和男
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/08
- メディア: 新書
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このように利点が多いのであるが、「トリウム溶融塩炉」は研究炉があるだけ*3で全く普及していない。なぜかというと国やメーカーにとって都合が悪かったからだろう。プルトニウムが発生しないということは核兵器に転用できないということであり、今の軽水炉が建設された60年代という時代では、軍事的によろしくなかった。また燃料成型の必要がないというのもそこで利益を上げようというメーカーにとっても都合が悪かった。技術的にはよくても政治的、企業論理的には邪魔だったということなのだろう。
現在の状況は原発に対して大変な逆風が吹いている訳だが、日本においては電力需要の約3割を原発が担っており、原発を止めるなら必ず代替の発電所が必要で、それは現実的には火力ということになってしまうだろう。しかし火力というのは環境にはよろしくないので、短期的にはともかく長期的に原子力に変わるものとしては厳しいものがある。かといって風力や太陽光は自然条件に左右され安定した発電は期待できないし、発電量も少なくコストも高い。では水力はどうかという立地を選ぶしダムが要るのでこれもまた厳しい。革新的な発電技術が出て来ないうちは当面原子力と上手に付き合っていかないといけないような気がする。より安全な原発という観点で、この本で紹介されている「トリウム溶融塩炉」というのはかなりいい選択肢*4であると思う。高速増殖炉のような危険なものに投資するよりは「トリウム溶融塩炉」の研究炉を作ってみてはどうか。