My Generation (自転車と本、あるいは音楽)

自転車での走行記録とか好きな本や音楽などをメインにお届けします

初めての村上春樹

1Q84』の大ヒットによって脚光を浴びている村上春樹ですが、いきなりあんな大作読めないからもう少し軽いものがいいけど何がいいの?っていう人も多いのではないでしょうか?そんな人にお送りする(笑)ガイドです。
大まかな作品の特徴として下記が挙げられます。

  • 文章は平易で読みやすいが、物語は難解。また物語の謎は全部解決される訳ではない。
  • 特徴的な比喩が多い。(チャンドラー等の影響が大と思います)
  • 超常現象ともいうべきあり得ない現象が出てくる。
  • 心理描写はあまりない。(嫌いなようです)

特に3点目は重要なポイントで、現実的にあり得ないことが結構出てくるので、リアルでないとダメという人には村上春樹は合わないと思います。例外は『ノルウェイの森』であの作品だけはリアリズムで書かれているのですが、あれ以降リアリズムには興味がなくなってしまったようです。

具体的には長編、短編、エッセイに分けてそれぞれピックアップしてみました。

■長編:『海辺のカフカ
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)
1Q84』以外にもいろいろな長編がありますが、初めての人には『海辺のカフカ』がいいと思います。ヒットしたということでいうと『ノルウェイの森』なんでしょうけど、あの作品はちょっと異端なので、村上春樹の文学性が色濃く出ているとは言い難い。その点本作は、リズムのいい文章、ちょっと変わったキャラクター(カーネル・サンダースの格好をした神様!)など春樹ワールド全開です。また他の作品に比べてユーモラスであり読みやすいと思います。
これがちょっと長いということであれば『羊をめぐる冒険』をおすすめします。
海辺のカフカ』を読んでよかった!という人は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』と読み進むのがいいと思います。

■短編:『めくらやなぎと眠る女』

めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女

米国で出版された自薦短編集を日本で逆輸入した形の第二弾です。なので本の体裁が米国のペーパーバック風になっています。第一弾『象の消滅』もいいけど、どちらかと言えばこちらのほうが粒ぞろいかと思います。むーちょが好きなのは『トニー滝谷』、『ハナレイ・ベイ』、『品川猿』、『バースデイ・ガール』など。長編もいいけど短編もいいです。むしろ初めての人は短編から入ったほうがいいかもです。

■エッセイ:『ポートレイト・イン・ジャズ』

これは和田誠さんが描かれた作品に解説が加えられているという形式のエッセイです。もともと作家になる前はジャズ喫茶を経営されてたこともあって、めちゃめちゃ知識を(ジャズだけでなく)お持ちなんですが、ジャズの持つ魅力、音楽に対しての表現がすごく秀逸だと思います。和田さんの絵もとてもいいです。
この作品だけでなく音楽系のエッセイでは『村上ソングス』とか『意味がなければスイングはない』などがあります。こちらはジャズだけに限っていないので、ジャズがお好きでない方はそちらのほうがいいでしょう。

わたしは一番最初にリアルタイム(大学のとき)で『ノルウェイの森』を読みました。この題名はもちろんThe Beatlesの楽曲『ノルウェイの森』から取られているのですが、この曲もこの曲が入ってるアルバム『Rubber Soul』も大好きなので興味をもったのがきっかけです。
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その後、それまでに出ていた長編『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』を読みました。これらは”僕と鼠”の物語として連作になっているのですが、特に『羊をめぐる冒険』がよかったです。で、しばらくして『ダンス・ダンス・ダンス』が出てこれで春樹ワールドにハマりました。今でも好きな作品ですね。