My Generation (自転車と本、あるいは音楽)

自転車での走行記録とか好きな本や音楽などをメインにお届けします

「虹の彼方に」 池澤夏樹

池澤夏樹氏は新刊が刊行されたら前向きに購入を検討する作家の一人である。近年は小説よりはコラムやエッセイ、河出書房新社より刊行の世界文学全集の編集等で精力的に活動されている。(なんで全部にはとても手が回らない)

虹の彼方に (講談社文庫)

虹の彼方に (講談社文庫)

本書は著者が2000年から2006年まで書き綴ったコラムやエッセイをまとめたものである。雑誌「現代」に連載されたコラムが多いためか、政治的な話題がかなり多い。池澤氏は9.11以後のアメリカの行動に対して明確に反対を表明している。実際にイラクまで行かれたりした上での発言であり重みがある。この辺りの経緯は別著「イラクの小さな橋を渡って」等に詳しい。沖縄の普天間問題では辺野古移転もノーという立場であるが、何年も沖縄に住んだ上での言葉には説得力がある。
後半はフランスに移住されているが、海外から見た日本の異質な点について鋭く指摘している。外からの視点というのなかなか日本にいては持ち得ないので、考えるためのきっかけという点でも好い本だと思う。