「すごい実験」、「すごい宇宙講義」
前に取りあげてたような気もするけど過去記事になかったし、丁度タイムリーな話題でもあるのでご紹介。
- 作者: 多田将
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/08/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は先日、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏がスーパーカミオカンデで実験していたことを分かりやすく説明した本。スーパーカミオカンデでの実験でニュートリノがミュー型からタウ型に変わる現象を捉えることができたため、それまで質量がないとされていた「ニュートリノに質量がある」ことが分かり、これがノーベル賞の受賞に繋がった。
2015年の現在では「ニュートリノに質量がある」ことですぐさま我々の生活に何か画期的な影響がある訳ではない。この本の冒頭でこんな話が書いてあった。以前、NHKの番組で梶田氏の師匠にあたり同じくノーベル賞を受賞した小柴先生にリポーターがこう聞いたらしい。
「で、先生、ニュートリノは一体何の役に立つんですか?」
先生はこう答えたという。
「かつて電子が発見されたとき、それが何の役に立つかわかる者は誰1人としていなかった。しかし、現在、我々の生活に電子(=電気)はなくてはならないものになっている。ニュートリノも今は何の役に立つのかさっぱりわからない。でも、何十年後あるいは何百年後に電子と同じようになくてはならないものになっているに違いない」
いや、なるほどと深く感心した。
で、この実験なかなか面白い。なんか考え方が力業なのだ。茨城県にある高エネルギー加速器研究機構からニュートリノをバンバン打ちこみ、300km離れた岐阜県神岡町にあるスーパーカミオカンデで検出するのだが、数のオーダーが凄い。1秒間におよそ1000兆個のニュートリノを打ち込むけど、それをスーパーカミオカンデでは1日に10しか検出できないのだそう。これはニュートリノが小さ過ぎて地球でさえもすり抜けてしまうから。衝突してなくなる確率って50億分の1くらいしかないのでとにかく数打って稼ぐということだとか。
というようなことが分かりやすく書いてあるので、興味深く読んだ。この本の後に出た「すごい宇宙講義」と併せて読むとよいです。
- 作者: 多田将
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2014/05/02
- メディア: Kindle版
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