My Generation (自転車と本、あるいは音楽)

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映画 "Amazing Grace"

先日の「リスペクト」に続いてAretha Franklinのライブ映画"Amazing Grace" について書いてみたい。


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これは彼女が1972年1月13日、14日の両日、米国ロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会で開催したゴスペル・ライブの映像である。音源のほうは同年に発表されており、その時はもちろんアナログレコードなので2日間を1日分に編集した形でリリースされていたが、1999年に2日間を完全収録したコンプリート盤がCDで出ている。

私は99年に発売されたCDを購入していてその圧倒的なパフォーマンスに感動したのだけれども、改めて映像を観るといろんな気づきもあり、より感動が深まった。

ゴスペルということでクワイアをサザン・カリフォルニア・コミュニティ聖歌隊が努め、彼らをジェームズ・クリーブランドという有名なゴスペルシンガーがリードしているのだが、映像だとみんながAretha のパフォーマンスに影響を受け、気持ちが高ぶっている様子がよく観てとれる。興奮した観客が踊りだしたりする様子などは音だけ聴いていてもわからない部分だし、ジェームズ・クリーブランドが説教というか話をするのだが、映像だと字幕があり内容が理解できてありがたかった。(英語力がないので音だけだと何を言っているか理解できず)

2日目にはArethaの父親で牧師のフランクリンも会場に来ており、ステージで少し話す場面がある。そのせいか映像での彼女はとてもナーバスに感じられてちょっと意外だった。このあたりは「リスペクト」も合わせて観るとより理解が深まるかなと思う。この映像は彼女の生前には公開許可が降りなくて、映像としてクオリティーが低いというのが理由だったそうだが、どうもそれだけではなく、親子の確執みたいなところも多分にありそう。確かにカメラワークとか、ライティングとか時代なりの稚拙さは感じられるが、今観るとそのあたりも記録として楽しめる要素かなとも思う。 ちなみに予告編でも確認できるが、ストーンズミック・ジャガーも会場に来ている。一瞬だけど先日亡くなったチャーリー・ワッツの姿も確認できます。(本編のみ)

ここで展開されている音楽は純粋なゴスペルにマービン・ゲイ*1の”Wholy Holy”など世俗の歌も織り交ぜてより親しみやすくなっている。特に”Precious Load, Take My Hand"、これは68年に暗殺されたキング牧師が亡くなる前日にリクエストした曲ということだそうだが、これにキャロル・キングの名曲"You've got a freind”をミックスして、また違った説得力が生まれたように思える。 あと、2日目に披露されている”Old Landmark"は映画「ブルース・ブラザーズ」でジェームズ・ブラウンが牧師に扮して教会で歌った曲です。

今年は"Summer of Soul", "Respect"に本作とソウルミュージック関連で良質な映像作品が多く出た一年だった。

*1:マービン・ゲイの父も有名な牧師で、彼も父親と確執があったと言われる。