「グレート・ギャツビーを追え」 ジョン・グリシャム
村上春樹訳ということで手にとってみたのだが、帯にはこう書いてあった。
プリンストン大学図書館の厳重な警備を破り、フィッツジェラルドの直筆原稿が強奪された。消えた長編小説5作の保険金総額は2500万ドル。その行方を追う捜査線上に浮かんだブルース・ケーブルはフロリダで独立系書店を営む名物店主。「ベイ・ブックス」を情熱的に切り盛りするこの男には、稀覯本収集家というもう一つの顔があった。真相を探るべく送り込まれたのは新進小説家のマーサー・マン。女性作家との<交流>にも積極的なブルースに近づき、秘密の核心に迫ろうとするが…
なかなか面白そう感じだったので購入したのだが、ずっと寝かせたままだった。このところようやく手がついて読み始めたらなるほど面白く、割と短期間のうちに読み終えることができた。
ジョン・グリシャムは法廷モノのミステリーで有名な作家で、映画化された作品もいくつかある。ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマンが出演していた「ニューオリンズ・トライアル」は映画館で観た記憶がある。この他にも「ペリカン文書」とか「評決のとき」などが映画化されている。
「グレート・ギャツビーを追え」は法廷モノとは違うのだが、これはこれで楽しめます。稀覯本とはまあ希少な本ということで初版であったりとか、サイン本であったり、アメリカでもそういったものは愛好家が一定数いるらしい。本はよく買うけど初版とかには全くこだわりはないが*1、レコードとかだとレアモノには興味があるので、まあ稀覯本収集する人の気持ちもわからなくはない。
しかし、小説の直筆原稿だとそれを手元に置いておきたい人ってどのくらいいるのだろう?漫画なら例えば「ドラえもん」の生原稿だったらちょっと欲しいかもと思うが、それでも高額を出してまで買おうとは思わないし、小説だとなおさらだ。村上春樹氏が訳者あとがきで、実際にプリンストン大学でフィッツジェラルドの生原稿を見せてもらったと書いているが、字がかなり汚くて読みづらかったそうだ。 金塊なんかと違ってこういった一点モノは扱うマーケットも限られるし、盗んでもそう簡単に処分できないだろうし、作中でも犯人が持て余してしまってる様子が描かれてなんだかなあ~という感じ。
グリシャムの中では異色な部類に入ると思うが、法廷モノとは違ってすんなり読めると思う。
*1:昨今、書籍は出たときに買っておかないとすぐ見かけなくなってしまうので、意図せず初版を買っているということはある