My Generation (自転車と本、あるいは音楽)

自転車での走行記録とか好きな本や音楽などをメインにお届けします

映画「CODA」

「coda」という映画を観た。ここ数年で観た中ではかなりよかったです。


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「coda」というのは「Children of Deaf Adults」の略で聞こえない親を持つ聞こえる子供ことを指すのだそう。主人公のルビーもそうで自分以外の家族、両親と兄は耳が聞こえない。彼女は歌うことが好きで学校ではコーラス部に入る。コーラスと言っても日本の合唱部のような感じではなく、もっとポピュラーな歌をやってます。そこで教師に才能を見いだされ、バークリー音楽大への進学を勧められるが、家族の中で唯一の健聴者である彼女は通訳という役割を担っており、自分の将来と葛藤する・・・

アカデミー賞の作品賞にノミネートされてるだけあって、いい映画だった。まあ作品賞は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」や「ウエスト・サイド・ストーリー」などの強力な候補がいて難しそうだけど。主演のエミリア・ジョーンズがいいですね。歌もいいし、まだ開花する前の少女の微妙な心情をよく表現できてると思った。重くなりすぎないようにユーモアの要素もしっかりあって、バランスもいい。

コーラス部の男子とデュエットをするのだが、その曲が”You’re All I Need To Get By”という曲でオリジナルはマービン・ゲイ&タミー・テレル。


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個人的にマービン・ゲイ&タミー・テレルはソウル界最強デュオの一組と思っているのでこの選曲は嬉しかった。他にはジョニ・ミッチェルの”Both sides now”(邦題:青春の光と影)も取り上げられててこちらもよかった。

フランス映画の『エール!』がオリジナルだそうだが、そっちも観てみたい。

「おっさんの掟」、「横浜ストロングスタイル」

リーグワンの立ち上げに関わった谷口真由美氏の著書。リーグワン開幕前のドタバタについての顛末が書かれてます。

しかし、これ読むとラグビー協会の闇が深すぎて暗澹たる気持ちになりますね。2019年のW杯で代表が結果を残してくれたのが、逆に改革への足枷になってしまってます。「現状でも成功したのだから変える必要はない」という現状維持のバイアスがかかってしまっている。結局完全プロ化にはならず、スタジアムの件も中途半端になってしまってます。裾野を広げようという発想にどうしてならないのか、理解に苦しみます。

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こちらは本からの抜粋で、サッカーやバスケットのリーグを改革した川淵氏との対談記事。

もう一冊横浜ベイスターズの経営に携わってた池田純氏の著書。池田氏は一時期もうなくなってしまったサンウルブズCBOに就任されていましたが、出る杭は打たれるということか、結局協会から疎まれて退任されました。そのあたりの顛末が書かれています。他にもJリーグや大学スポーツについて関わったときのことなども。

2人とも驚くほど同じことを書いています。

ラグビー界を変えていかないといけない。何とか力を貸して欲しい。」と請われてラグビー村に入ったものの、いろいろ提言しても特に取り上げられず、逆に上層部に邪魔をされる。当初は応援してくれていた協会内の人間もポジションを失うことを恐れ、応援してくれなくなり孤立無援に陥る。結果として退任する ーほぼ同じ流れを辿っています。外部の人間を登用するのは結局やってます感をアピールするためだけにしか見えない。

お二人はラグビー村の外の住民ですが、村の住民でリーグワンを仕切っていた清宮氏も協会内で浮いてしまい、今はリーグワンには一切関わってないです。

企業側が改革に後向きというのは理解できる部分もあるけど、旗を振る協会がこれでは改革なんて夢物語ですね。もうちょっと危機感もってやってもらわんと、ほんまに。

映画 "Amazing Grace"

先日の「リスペクト」に続いてAretha Franklinのライブ映画"Amazing Grace" について書いてみたい。


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これは彼女が1972年1月13日、14日の両日、米国ロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会で開催したゴスペル・ライブの映像である。音源のほうは同年に発表されており、その時はもちろんアナログレコードなので2日間を1日分に編集した形でリリースされていたが、1999年に2日間を完全収録したコンプリート盤がCDで出ている。

私は99年に発売されたCDを購入していてその圧倒的なパフォーマンスに感動したのだけれども、改めて映像を観るといろんな気づきもあり、より感動が深まった。

ゴスペルということでクワイアをサザン・カリフォルニア・コミュニティ聖歌隊が努め、彼らをジェームズ・クリーブランドという有名なゴスペルシンガーがリードしているのだが、映像だとみんながAretha のパフォーマンスに影響を受け、気持ちが高ぶっている様子がよく観てとれる。興奮した観客が踊りだしたりする様子などは音だけ聴いていてもわからない部分だし、ジェームズ・クリーブランドが説教というか話をするのだが、映像だと字幕があり内容が理解できてありがたかった。(英語力がないので音だけだと何を言っているか理解できず)

2日目にはArethaの父親で牧師のフランクリンも会場に来ており、ステージで少し話す場面がある。そのせいか映像での彼女はとてもナーバスに感じられてちょっと意外だった。このあたりは「リスペクト」も合わせて観るとより理解が深まるかなと思う。この映像は彼女の生前には公開許可が降りなくて、映像としてクオリティーが低いというのが理由だったそうだが、どうもそれだけではなく、親子の確執みたいなところも多分にありそう。確かにカメラワークとか、ライティングとか時代なりの稚拙さは感じられるが、今観るとそのあたりも記録として楽しめる要素かなとも思う。 ちなみに予告編でも確認できるが、ストーンズミック・ジャガーも会場に来ている。一瞬だけど先日亡くなったチャーリー・ワッツの姿も確認できます。(本編のみ)

ここで展開されている音楽は純粋なゴスペルにマービン・ゲイ*1の”Wholy Holy”など世俗の歌も織り交ぜてより親しみやすくなっている。特に”Precious Load, Take My Hand"、これは68年に暗殺されたキング牧師が亡くなる前日にリクエストした曲ということだそうだが、これにキャロル・キングの名曲"You've got a freind”をミックスして、また違った説得力が生まれたように思える。 あと、2日目に披露されている”Old Landmark"は映画「ブルース・ブラザーズ」でジェームズ・ブラウンが牧師に扮して教会で歌った曲です。

今年は"Summer of Soul", "Respect"に本作とソウルミュージック関連で良質な映像作品が多く出た一年だった。

*1:マービン・ゲイの父も有名な牧師で、彼も父親と確執があったと言われる。

大学選手権4回戦

12/18日はラグビー大学選手権の4回戦を花園ラグビー場で観戦。

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午前中所要があり、開始時間に間に合わず。スタジアム前もひっそりしてます。

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オミクロン株の感染もちらほら聞こえる中、観客の入りも少し抑え気味か。チケット選ぶ時点ではメイン、バックとも満杯だったけど。 今回は珍しくメイン側で観戦。メインは日が当たらないんで見やすいけど寒い。関西でもかなり冷え込みがきつく冷えました。

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第1試合は関西リーグ4位同志社大 vs 関東リーグ3位の大東文化大。序盤は同志社のペースだったが、ミスが多く結果自滅みたいなトライを取られて僅差のゲームに。7点差、残り時間1分半くらいで、大東文化大キックオフのボールを自陣でキープし時間を使う作戦だったが、大東文化大にボールを取られてゴール右隅にトライを許す。ゴールが決まれば同点、トライ数は同じだったためトライ後のゴール数が多かった大東文化大が勝ち上がれたが、惜しくもゴールは失敗。同志社が勝利、準々決勝は帝京大に挑むことに。

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第2試合は昨年の覇者天理大 vs 対抗戦3位の明治。この日の明治はスクラムが強烈で天理を圧倒。点差は27-17 だったがスコア以上に明治が強かった印象。天理は昨年の優勝メンバーから半数以上抜けて、チーム作りに苦しみ関西リーグでも3位だった。それでも後半は2トライを返し、意地は見せれたのではないか。勝ったは明治は早稲田と対戦。正月前に早明戦というのもちょっと変な感じ。

近大も慶応に敗れ関西勢では1位の京産大同志社のみが残ったが、同志社の次戦は対抗戦優勝の帝京大、ちょっと厳しい感じ。京産大の相手は対抗戦5位の日体大を下した関東リーグ戦2位の日本大、何とか勝ち残って正月を迎えて欲しい。

映画「リスペクト」

ソウルの女王、Aretha Franklin*1の半生を描いた映画「リスペクト」を観てきた。

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主演はジェニファー・ハドソン、ご本人からのオファーだそうですが、R&Bのグループ The Supremes を取り上げた映画「Dreamgirls」にも出演していて実力は申し分なし。Arethaの父親役にはフォレスト・ウィテカー、この人はクリント・イーストウッド監督の「バード」でチャーリー・パーカーを演じた人。

父が有名な牧師であり教会でゴスペルを歌っていた幼少期からその才能を見いだされていたArethaだが、歌手としてデビューした当初はなかなかヒットに恵まれなかった。成長するにつれて父親とは対立するようになり、また結婚も上手くいかなかったりと多くの葛藤を抱えていたが、アトランティック・レコードのジェリー・ウェクスラーと出会い、当初のジャズ路線からゴスペル色の強い路線に転向。シングル「貴方だけを愛して」のヒットがきっかけとなり、オーティス・レディングのカバー「RESPECT」で一躍スター街道に躍り出ていく・・・


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売れてからのArethaはもちろん知っていたけど、売れてない頃はジャズっぽい路線だったことは知らなかった。当初はコロムビア・レコードからリリースしていたけど、ビリー・ホリデイのような路線を狙ってたよう。ちょっと今からだとジャズっぽいことやってたとは想像できない。やっぱり彼女の魅力はその圧倒的な声のパワーにあると思う。

CDは最近出た4枚組が初期化ら晩年まで網羅してくれているようで、これを聴けば一通りはカバーできそうです。

*1:アレサという表記が多いが、発音からはアリーサが正しそう